動態デザイン研究室障害福祉に関連する統計資料

障害福祉に関連する

統計資料

  1. はじめに

このページでは、障害福祉に関連する様々な統計資料をご紹介します。統計資料を見てみると意外な発見があるかもしれません。

  1. 障がい者数と施設数の推移

さて、いきなりですが問題です。「日本には障がい者の方が何人いるでしょう?」そして「その数は20年前と比較してどうなっているでしょう?」です。言われてもパッとイメージしにくいですよね。ということで、統計資料を見てみましょう。これについては、厚生労働省が約5年に1回実施している「生活のしづらさなどに関する調査」に統計資料があります。そして、こちらを元に厚生労働省が「障害者数の推計」を出しています。

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これを見ると、ここ10年で精神障害者の数が急増していることが分かります。2022年で推計1,164.7万人となっており、日本人人口の約9.5%が障がい者という状況になっています。つまるところ、障害福祉の話は、誰にとっても他人事とは言い切れない状況にあることが見て取れます。

一般的に「障害者の多くは65歳以上だ」という意見もありますが、これらのデータを紐解くと、65歳以上の割合は

  • 2006年:62%

  • 2011年:50%

  • 2016年:52%

  • 2022年:47%

となっており、どちらかというと65歳以上の比率は減少傾向にあります。一方で施設入所数と在宅者数の数の推移を見てみると、施設入所者の数はジワジワと減り、在宅者数の数が急激に伸びているということが分かります。

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そうなってくると、施設数がどうなっているのか?が気になるところです。ということで、同じく厚生労働省の「社会福祉施設等調査」を見てみます。社会福祉施設にも色々とあるのですが、入所施設の主だったところとして「障害者支援施設」「福祉ホーム」「障害児入所施設」をピックアップしてみました。

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これを見ると、障害児入所施設(医療型)以外は減少傾向にあることが分かります。少し前までは障害者支援施設数も復活の兆しを見せていましたが、また減少傾向に転じています。定員数のデータも有りますが、基本的にはこれとほぼ同じ傾向を示しています。

これだけを見ると、障害福祉がどんどん切り捨てられているかのように見えますが、実はそうでもないです。ということで、今度は障害福祉サービスの事業所数を見てみましょう。障害福祉サービスには様々な種類があるのですが、今回は主だったモノに限定してみます。

これを見ると、在宅介護を前提とした障害福祉サービスの数は右肩上がりに増えています。つまり、事の良し悪しはさておくとして、これらから「国は在宅介護を前提とした体制に舵を切っている」ということが読み解けます。

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  1. 障害福祉にかかる費用

今度は、障害福祉にかかる費用について見てみましょう。国の財源も有限なので、この部分を見ていくことは、とても重要です。

ということで、障害福祉にどれぐらいの費用が投じられているか?を確かめていきましょう。

国のお金といえば財務省ということで、財務省の予算書・決算書データベースから紐解いてみたいと思います。


まず、障害福祉にかかる予算の多くは厚生労働省の「障害保健福祉費」にまとめられています。ということで、障害保健福祉費の推移を見てみます。

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2023年度から障害児関連の費用がこども家庭庁の項目となったため、見かけ上の障害保健福祉費は減っていますが、その分を考慮すると、2023年度で約2.48兆円が投じられていることが分かります。ここ十数年で約2倍です。

では、次にこの2.48兆円の中身に迫ってみましょう。決算書データベースの項目はかなり細かいので、中でも金額の大きなモノを抜粋してみたいと思います。ということで、以下のグラフをご覧ください。

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これを見ると、いずれの項目においても少しずつ膨らんでいますが、特に「障害者自立支援給付費負担金」と「障害児入所給付費等負担金」の増加がとても大きいことが分かります。ちなみに2025年度(令和7年度)の概算要求で

  • 障害者自立支援給付費負担金:1兆6,497億円

  • 障害児入所給付費等負担金:4,925億円

となっていることから、いまだもって増え続けているということが分かります。ちなみに、これらはどんな費用か?というと、以下のとおりです。

障害者自立支援給付費負担金

  1. 介護給付・訓練等給付

介護給付費および訓練等給付費、特定障害者特別給付費、高額障害福祉サービス等給付費に要する経費の50%を負担(残りは自治体が負担)するもの。

例:居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、施設入所支援、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助など
  1. 計画相談支援給付

障害者の自立した生活を支え、障害者の抱える課題の解決や適切なサービス利用に向けて、ケアマネジメントによりきめ細かく支援するための費用
  1. 地域相談支援給付

地域移行や地域定着を支援するための費用
  1. 補装具費

障害児・者が日常生活を送る上で必要な移動等の確保や、就労場面における能率の向上を図るために必要な補装具の費用。

障害児入所給付費等負担金

  1. 障害児施設給付費

(入所)
障害児入所施設の利用に際し発生する費用の50%(残りは自治体)を負担するもの。
(通所)
障害児通所支援事業所の利用に際し発生する費用の50%を(残りは自治体)を負担するもの。
  1. 障害児相談支援給付費

障害児の通所サービスに係る障害児支援利用計画を作成する相談をするための費用。
  1. 障害児施設措置費

(入所)
虐待など保護を要する自動について、障害児入所施設等に入所させる措置となった場合に要する費用。
(通所)
障害児の保護者がやむを得ない事由により障害児通所給付費の支給を受けることが著しく困難であると認められる際に、障害児通所支援を提供した場合に要する費用。

たしかに「入所」という言葉から見ると、「あれ?入所施設って減ってなかったっけ?」と思うかもしれません。しかし実際のところ、この項目には障害福祉サービス全体がほぼ含まれているため、先ほど示した障害福祉サービス事業所数の推移を踏まえれば、増加傾向にも納得がいくところです。

  1. 特別児童扶養手当等の受給者数と費用

最後は本題の特別児童扶養手当等の受給者数と費用の推移です。特別児童扶養手当等は、「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」によって以下4つの手当が定められています。

  • 特別児童扶養手当

  • 障害児福祉手当

  • 特別障害者手当

  • 経過的福祉手当(福祉手当の経過措置分)

元々は「重度精神薄弱児扶養手当法」として1964年に成立した法律のため、特に精神障害・知的障害者に手厚い手当の構造となっています。経過的福祉手当とは1985年(昭和60年)の年金制度改革によって、それまでの福祉手当が「障害児福祉手当」と「特別障害者手当」に別れた際、「それまで福祉手当を受給していたが、特別障害者手当の受給からは外れてしまう人」を救済するための経過措置です。

ということで、受給者の推移を見てみます。

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これを見ると、特別児童扶養手当および特別障害者手当の受給者数はジワジワと増えていることが分かります。上述した通り、障害者の全体数自体が増えているので、納得なところです。

では次に予算推移を見てみましょう。当然と言えば当然ですが、予算もジワジワと増えている感じです。ただし、先ほどご紹介した「障害者自立支援給付費負担金」や「障害児入所給付費等負担金」と比べてみると、その伸びは比較的緩やかであることが分かります。

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次に、特別児童扶養手当については、「支給対象障害児数」と「受給者数」の両方のデータがあるので、そこから導き出される受給率を見てみます。

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これを見ると、受給率は年々減少傾向にあることが分かります。実はこの理由についても統計データがあるのですが、そのほとんどが所得制限です。ということで、少しずつですが、所得制限が障害福祉において問題化されてきている状況が分かります。

最後にせっかく統計データが揃っているので、これをもとに「今後の障害児数がどのように変化していくのか」を簡単にシミュレーションしてみました。

ご存じのとおり、日本では出生率が右肩下がりで推移しており、それに伴い障害児の総数もいずれは減少に転じると考えられます。一方で、医療技術の進歩により障害児率そのものは上昇傾向にあります。そのため、実際に障害児数が減少に転じるのは、もう少し先の時期になると推測されます。

本来であれば、シミュレーションには複数の変数を用いて厳密に検討する必要がありますが、ここではあくまで概観をつかむために、「障害児率の変化」を多項式曲線で近似し、20歳未満人口の推計値と掛け合わせた場合にどうなるかを試算しています。

専門家の方であればお分かりのとおり、この計算方法には高い精度はありません。したがって、本結果はあくまで傾向を把握するための参考値としてご覧いただければ幸いです。

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私の直感では、今回のシミュレーションにおいて「中位」モデルのパターンが最も現実に近いように感じられます。それでもなお、障害児数が減少に転じるのは2045年頃と見込まれます。