障害福祉に関連する
統計資料
for 国会議員
はじめに
このページでは、障害福祉に関連する様々な統計資料をご紹介します。いずれもe-Stat(政府統計)など、政府が公式で出しているデータです。そこから必要なデータをサルベージし、グラフ作成用に加工しています。
障がい者数と施設数の推移
厚生労働省が約5年に1回実施している「生活のしづらさなどに関する調査」に統計資料があります。そして、こちらを元に厚生労働省が「障害者数の推計」を出しています。
2006年の元データ(平成21年版厚生労働白書)
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/09/dl/01-02-03.pdf
2011年の元データ(平成23年生活のしづらさなどに関する調査)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/seikatsu_chousa_b_02.pdf
2016年の元データ(平成28年生活のしづらさなどに関する調査)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/seikatsu_chousa_b_h28_01.pdf
2022年の元データ(令和4年生活のしづらさなどに関する調査)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/seikatsu_chousa_b_r04_02.pdf

【データソース】
ただし、精神障害者数が急増して見える背景には、2020年調査からの集計方法の変更が影響しています。
2017年調査まで(=グラフの2016年まで):前回診療日から31日以上空いた場合は除外(=月1回以上の通院が基準)
2020年調査以降(=グラフの2022年):除外基準が「99日以上」に拡大(=3か月に1回以上の通院までカウント対象)
この変更によって、以前なら対象外だった軽い通院者や通院間隔が長い人も含まれるようになり、数値が大きく増えました。もっとも、この変更以前から精神障害者数はじわじわ増加しており、増加傾向そのものは実態を反映していると考えられます。
そうなってくると、施設数がどうなっているのか?が気になるところです。ということで、同じく厚生労働省の「社会福祉施設等調査」を見てみます。社会福祉施設にも色々とあるのですが、入所施設の主だったところとして「障害者支援施設」「福祉ホーム」「障害児入所施設」をピックアップしてみました。通所施設については様々な種類があるのですが、今回は主だったモノに限定してみます。


【データソース】
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1MwcEcBEYPH8evzc7BqsFl4_jjo6HHYY7NfjuIzLktEs/edit?usp=sharing
これを見ると、在宅介護を前提とした障害福祉サービスの数は右肩上がりに増えています。つまり、事の良し悪しはさておくとして、これらから「国は在宅介護を前提とした体制に舵を切っている」ということが読み解けます。
厚生労働省の方針においても、地域移行を強化する流れになっているので、その影響が大きいと思います。
障害福祉にかかる費用
障害福祉にかかる費用について見てみます。財務省の予算書・決算書データベースから紐解いてみます。
まず、障害福祉にかかる予算の多くは厚生労働省の「障害保健福祉費」にまとめられています。ということで、障害保健福祉費の推移を見てみます。


【データソース】
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1Qc1OI7Db3YIBdAaVtwVIlHQ409sXav8jtXN_4DxQfUc/edit?usp=sharing
2025年度(令和7年度)の概算要求で
障害者自立支援給付費負担金:1兆6,497億円
障害児入所給付費等負担金:4,925億円
となっています。これらはどんな費用か?というと、以下のとおりです。
障害者自立支援給付費負担金
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/25syokan/dl/gaiyo-11-2.pdf
介護給付・訓練等給付
介護給付費および訓練等給付費、特定障害者特別給付費、高額障害福祉サービス等給付費に要する経費の50%を負担(残りは自治体が負担)するもの。
例:居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、施設入所支援、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助など計画相談支援給付
障害者の自立した生活を支え、障害者の抱える課題の解決や適切なサービス利用に向けて、ケアマネジメントによりきめ細かく支援するための費用地域相談支援給付
地域移行や地域定着を支援するための費用補装具費
障害児・者が日常生活を送る上で必要な移動等の確保や、就労場面における能率の向上を図るために必要な補装具の費用。障害児入所給付費等負担金
https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000778040.pdf
https://www.soumu.go.jp/main_content/001031866.pdf
障害児施設給付費
(入所)
障害児入所施設の利用に際し発生する費用の50%(残りは自治体)を負担するもの。
(通所)
障害児通所支援事業所の利用に際し発生する費用の50%を(残りは自治体)を負担するもの。障害児相談支援給付費
障害児の通所サービスに係る障害児支援利用計画を作成する相談をするための費用。障害児施設措置費
(入所)
虐待など保護を要する自動について、障害児入所施設等に入所させる措置となった場合に要する費用。
(通所)
障害児の保護者がやむを得ない事由により障害児通所給付費の支給を受けることが著しく困難であると認められる際に、障害児通所支援を提供した場合に要する費用。特別児童扶養手当等の受給者数と費用
最後は本題の特別児童扶養手当等の受給者数と費用の推移です。データは福祉行政報告例から作成しています。
【データソース】
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1nctvSAN3wO_8JL7QQG3PBTFxdrZbkgoxlbGRg8riVYI/edit?usp=sharing



最後にせっかく統計データが揃っているので、これをもとに「今後の障害児数がどのように変化していくのか」を簡単にシミュレーションしてみました。
ご存じのとおり、日本では出生率が右肩下がりで推移しており、それに伴い障害児の総数もいずれは減少に転じると考えられます。一方で、医療技術の進歩により障害児率そのものは上昇傾向にあります。そのため、実際に障害児数が減少に転じるのは、もう少し先の時期になると推測されます。
本来であれば、シミュレーションには複数の変数を用いて厳密に検討する必要がありますが、ここではあくまで概観をつかむために、「障害児率の変化」を多項式曲線で近似し、20歳未満人口の推計値と掛け合わせた場合にどうなるかを試算しています。
専門家の方であればお分かりのとおり、この計算方法には高い精度はありません。したがって、本結果はあくまで傾向を把握するための参考値としてご覧いただければ幸いです。

私の直感では、今回のシミュレーションにおいて「中位」モデルのパターンが最も現実に近いように感じられます。それでもなお、障害児数が減少に転じるのは2045年頃と見込まれます。
障害者手帳保持者数の推移
データは福祉行政報告例および衛生行政報告例から作成しています。こちらは、割とデータが揃っているのが特徴です。
【データソース】
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1JmyKc-5mhSRoPWiTiXn-ee3YNF-hZwKV3buefts92JM/edit?usp=sharing




推計値と手帳保持者数を比べてみると、障害の種類ごとに差があることが分かります。ちなみに、障害を複数持っていて複数の手帳を所持するケースがあること、また推計は標本抽出調査であるため誤差を含むことなどから、保持率が100%を超える、あるいは大きく乖離することは統計の性格上、自然に起こり得ます。
身体障害
推計値よりも手帳保持者数の方が常に多く、2022年時点で保持率は114.5%。知的障害
2006年・2011年には手帳数の方が多かったものの、2016年以降はほぼ一致し、2022年の保持率は98.0%。精神障害
一貫して推計値の方が圧倒的に多く、2022年の推計約615万人に対して手帳保持者は約142万人。保持率は23.1%にとどまっています。
このように、身体障害では手帳数が多い、知的障害ではほぼ一致、精神障害では推計の方が圧倒的に多いという三者三様の結果になっています。言い換えれば、障がい者数を正確に統計で把握することは非常に難しい、という現実が浮き彫りになってきます。