爆増問題を考える
はじめに
所得制限を撤廃した場合、どれぐらいの費用増になるか?については「所得制限に引っかかるからそもそも申請していない」勢がどれぐらい増えてしまうのか?という部分がポイントになるかと思います。なので、そこを少し深堀りしてみます。
特別児童扶養手当の認定基準
特別児童扶養手当の認定基準は「特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令別表第三」に定められており、障害者手帳などの基準とは全く別のものが用いられています。ですが、ある程度は同じなので、母数を「障害者手帳の保持者数」で見ることができます。
ということで、障害者手帳と特別児童扶養手当1〜2級の概ねの関係性を以下に示します。
1級
身体障害者1〜2級にほぼ同じ
精神障害者1級にほぼ同じ
知的障害者(重度)にほぼ同じ
2級
身体障害者3級にほぼ同じ
精神障害者2級にほぼ同じ
では、今度は母数たる障害者手帳の保持者数状況を見てみます。障害者手帳は重複して申請するケースも多いので、実数ではなく「増加率」の状況で考えます。
まずは1級の対象者母数をグラフにしてみます。

数字のデータで見ると
【2003年度】2,751,805
【2023年度】3,099,980
【増加率】12.65%
となり、長期的に見ても微増の範囲となります。次にここから65歳未満に絞ってみます。2022年の障害者数推計値にもとづくと、身体障害者の65歳未満は27%、知的障害は85%、精神障害は64%となるので、先程のグラフデータにこの数字を当てはめてみます。

そうすると、実数ベースで
【2003年度】1,028,738
【2023年度】1,252,702
【増加率】21.18%
となります。増加率はあがってしまいますが、近年は横ばいで推移しているので、母数としては「恐らくはほぼ横ばいで推移しているだろう」ことが分かります。次に、ここから「20歳未満の数」を推計します。人口推計のデータにもとづくと2024年のデータで20歳未満が1,928.6万人、20〜65歳が6,828.0万人で、20歳未満の比率は22.0%です。先程の2023年度の母数に0.22をかけると「275,594」になるので、最大母数は概ね27.6万人とみなせます。ただし、重複して手当を申請している数もかなり多いはずなので、概ね20万人と考えるのが妥当かと思います。2023年度のデータで特別児童扶養手当1級の受給者は13.2万人なので、これらを踏まえると、1級において爆増することは考えにくいと思います。
次に2級について検討してみます。1級と同様に対象母数をグラフにしてみます。

数字のデータで見ると
【2003年度】1,001,242
【2023年度】1,665,001
【増加率】66.29%
となり、こちらは母数が右肩上がりで増えていることが分かります。特に精神障害に著しい増加傾向が見られます。こちらも先ほどと同様に係数をかけます。

そうすると、実数ベースで
【2003年度】347,253
【2023年度】777,545
【増加率】223.91%
となります。こちらはかなり著しい増加率を示しています。次に、1級と同様に人口推計比率の0.22をかけると「171,059」になるので、最大母数は概ね17.1万人とみなせます。2023年度のデータで特別児童扶養手当2級の受給者は13.4万人なので、これらを踏まえると、2級においても母数の少なさから爆増することは考えにくいと思います。ただし、精神障害については申請率があまりよろしくないので、こちらについては未知数部分が多いです。
ただし、この分野の問題点として「特に精神障害の基準が曖昧」という部分があるので、この点、特に2級をきちんと整備すれば爆増は避けられると思います。