動態デザイン研究室100のくらし 一覧
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中学生の下の子に重度知的障害があります。下の子は体調を崩しやすく、一度感染すると回復に時間がかかります。日常の介護は想像を超える大変さがあります。持病により便秘がちで、時に意図せずかなりの量の大便を漏らすことがあります。ある朝、起きる前にかなりの量を布団に出してしまいました。すごい量です。薬は飲んでいるもののこんなに体にたまっていたのかとびっくりしました。本人は体が震え、移動が困難でした。それでもなんとかひっぱってお風呂場まで移動させ、汚れた服を脱がせ、体を洗いながらもまだ便が出るので、トイレまでどうにか連れていき、あとはトイレで出すことに成功しました。

トイレでも体は震えて軽くパニックを起こしていました。私もびっくりして平常心ではいられませんがなんとか気丈に「大丈夫だよ」と言いながら付き添うしかありませんでした。この間30分以上。家の中はその臭いで酷いものでした。布団も風呂場も廊下まだ汚れたままです。やっとトイレでの排便が終わり、移動させようとしましたが、本人は力尽きて狭いトイレの中で倒れこんでしまいました。なんとかパンツを履かせましたが、不甲斐ないことに私には力がなく、40キロ近い子どもを移動させることがどうしてもできず、本当にどうしようもなく、申し訳ないけど高校生の上の子を呼んで「ごめん、一緒にリビングに運んでくれる?」ってお願いしました。

下の子と上の子は異性です。何も言わずにパンツ姿の下の子を運んでくれ、下の子に優しく声をかけてくれました。においが充満する家の中で朝ご飯を食べ、パニックの下の子の声が聞こえ…上の子だってこんな状況ショックだったと思います。こんなことをさせてしまったことにもショックだし、きょうだいの世話にならないとどうすることもできなかったことに、泣けてきました。

転勤で引っ越した自治体には小児医療費助成と重度障害者医療費助成に所得制限がありました。何度か子連れで引っ越しましたが、医療費に所得制限がある自治体は初めてでした。あまりピンとこないまま、引っ越し1年目はそれまで通り病院にいっていました。ですが重度障がい児で持病もあるため、医療費によるお金の減りがすごく、引っ越して最初の方は年に数十万の医療費が子どもにかかりました。それでもやっと見つけたリハビリに通いたくて、「少しでも本人が生きやすくなってほしい」との思いで頑張って通いました。ですが、行くたびに我が家は3割の支払いあり、周りは会計なし。「重度障害タクシー券があるよ」と言われましたが、それも所得制限があり、自家用車がない我が家はなんとか交通機関で通いました。

とても良いリハビリの病院でしたが、我が家だけ医療費を払ってるモヤモヤが限界に達したんだと思います。もう嫌になっちゃいました。キャンセルの電話をして、リハビリ継続できなくなりました。親の会に参加しても「こんなことがあったけど病院にいって解決した」とか「あの先生いいよ」とか、周りは通院して安心した話ばかりしていました。そこでも不安なことや所得制限の愚痴など誰にも言えず、孤独でした。

子どもがケガをしたり体調を崩した時、真っ先に考えるのは「財布に現金あったかな」です。子どもを看病しながら財布の中を確認します。どの病院にいっても、会計があるのはうちだけ。みんなそのまま帰ります。この病院代・薬代で家族分のマック買える、外食できる、子どもの靴や服が買える…そんなことばかり考えるようになってしまいました。もし、あのままこの数年間リハビリを続けていたら、もっと明瞭に話せていたかも、体を動かしたり、認知機能も違ったかもと思わずにはいられませんが、私に限界が来てしまいました。子どもの可能性を奪ってしまったかもしれません。

所得制限で重度障害児のための手当はなく、障害福祉サービスも高額になるため、放課後デイサービスは週1日の契約をしています。相談事業所の支援員さんと定期的に面談した際、「デイサービスの日数増やしませんか?」とか、「他の福祉サービス(ショートステイや移動支援)使いませんか?」と言われるのですが、本音を言えず苦笑いするだけです。「行きたいけど高いから」なんて言ったら、人によってはどう思われるか不安で仕方がないからです。

なので、週4日は学校へ迎えに行き、放課後は子どもと一緒に過ごします。放課後デイサービスに行けていたら、皆と過ごしたり、お買い物やお出かけを体験したり、支援者とコミュニケーションの取り方を覚えたり、成長に繋がっただろうなと思います。一人で子どもと外出する気力もなく、夏休みなどの長期休暇は正直辛いです。私が頑張れば、子どもはもっと楽しく成長したかもしれないけど、頑張ることができませんでした。

週1日しか契約してないことで、いろいろなことがありました。本人の学校の保護者懇談会に参加できない。来てほしそうなきょうだい児の授業参観や懇談会・保護者会、部活の試合、文化祭に行けない。夏休み、きょうだい児とマクドナルドなど出かけられるのは週1日のみ。他の親から「なぜ週1なのか?」と聞かれ、所得制限と知られたら態度が変わり、付き合いにくくなりました。自分の病院が長引くのが怖くて午後や午前の遅い時間は病院に行けません。父親は単身赴任中で身動きが取れず、特にきょうだい児には我慢させてきたと思います。不甲斐ないです。

前に支援員さんに料金について聞いたことがあります。所得制限に引っかかると「放課後デイサービス」「移動支援」「ヘルパー」、これらは同じ福祉サービスに見えて「それぞれに37,200円がかかる」という話でした。つまり、月11万1,600円です。ただでさえ、高くて放課後デイサービスの利用が週1日なのに、「一気に月11万円以上払うことになったら」と思うと怖くて、放課後デイサービス以外の福祉を使うことができません。

これも、うちの子にとっては経験を奪うことになっているのだと悲しくなります。いつも二の次になってしまうきょうだい児にとっても、たまに親を独り占めできたら嬉しかったかもしれません。ママ友からも「ショートステイ紹介するよ」とか「息抜きにいいよ」とか言われますが、鈍い反応しかできませんでした。そうしているうちに、支援者、ママ友、親の会、全てにおいて孤独を感じるようになりました。今本音を話せるのはSNSにいる同じ状況の方だけです。

世の中に伝えたいこと

現状を知り、障害福祉に所得制限は必要なのか、改めて考えてもらえたらと思います。

こりす さんのくらし